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ティンバーフレームとは

 ティンバーフレーム(英:Timber Frame)

 ティンバーフレーム概要

ティンバーフレームとは、無垢の大径材を柱・梁・トラス・方杖に製材したパーツを組み合わせて1つのフレームを形成し、そのフレーム同士を連結させる梁と方杖から連なる方杖式ラーメン構造(Timber Framing Structure)で建てられた角ログ住宅となります。この建築様式は、中世ヨーロッパの森林の多いドイツ、フランス、オランダ、イングランド地域において盛んに用いられた木造軸組み構法に由来し、ヨーロッパ各地から北米へ移住した開拓者によって改良され、現在のティンバーフレームになったとされています。北米では、主にオーク、ダグラス・ファー、ベイマツ、ウエスタンレッドシーダー、ホワイトパインなどがティンバーフレームの建材として使用されていますが、日本ティンバーフレーム協会では、杉、松、桧(ヒノキ)、そして欅(ケヤキ)などの国産の大径材を使用して建築する方法を推奨しています。

 方杖式ラーメン構造

日本で馴染みの少ないティンバーフレームは、よく在来軸組工法で造るポスト&ビームと間違えられることがありますが、設計デザイン(部屋のレイアウト)の制限となる筋交いや耐力壁を一切使用しないため、厳密には異なる構法となります。また、日本の伝統工法である「木造軸組み構法」とも勘違いされる事がありますが、建築基準法の規定により筋交いと耐力壁の設置が必要な木造軸組み構法(つまりは在来軸組工法)とは異なり、構造耐力を筋交いや耐力壁で負担せず設計・計算されています。

ティンバーフレームは、方杖(柱と梁の交わる箇所に斜めに入れる補強材)によって限界耐力計算をしているため、日本語で表記する場合は「方杖式ラーメン構造」/「方杖式フレーム構造」というのが最も近い表現となります。

 ティンバーフレームの歴史と現在

12世紀以降のヨーロッパであるイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、スイス、デンマーク、ポーランドなど、豊かな森林資源を有する国々で広く使われてきたティンバーフレームの当初は、ハーフティンバーと呼ばれる外側に柱が露出した仕様で、それらの柱と柱の間にレンガや漆喰で作られた外壁が設ける構造でした。しかし、柱が外部に露出していたため、柱と壁の間に隙間が生じやすく、寒冷地には不向きな構法でした。このハーフティンバーの歴史は古く、紀元79年頃のローマで既に使用されていたとされています。

イングランドのハーフティンバー
ティンバーフレームの納屋

16世紀頃から、ヨーロッパからアメリカ大陸に移住した大工たちが、住宅や教会などの建築にティンバーフレームを使用していました。ヨーロッパでの短いログ材を使用した構法から、太くて長いログ材を使う方法へと変化し、より大きな建物を作る技術が発展しました。同時に、ハーフティンバーの欠点であった柱と外壁の隙間は、骨組みの外側に外壁を設けることで解消され、断熱性と気密性が飛躍的に向上しました。これにより、アメリカの寒冷な地方の冬でも快適な暮らしが出来るようになりました。

ティンバーフレームは、20世紀初頭までアメリカで普及していましたが、後に大量生産が可能な安価な釘と板材の登場により、大きな建材や高度な建築技術が不要な「スタッド工法」のツーバイフォー(2x4インチ)とツーバイシックス(2x6インチ)に押され、最終的に衰退していきました。しかし、1970年代に入ると、ニューイングランド地域の職人たちはスタッド工法の品質に疑問を抱き、高品質で美しく、永く住めるログ住宅を求めて、ティンバーフレームの研究と復興活動を行い、一度は絶えられたティンバーフレームを復活させました。

現代のティンバーフレーム