Skip to main content

伝統を受け継いだティンバーフレームの構造とは?

2025年05月29日 - ニュース

伝統的なティンバーフレームの構造を形づくるものとは、一体何なのでしょうか?その特徴や技術的な要素を紐解きます。

What Defines the Structure of Traditional Timber Framing?

ティンバーフレーム(Timber Frame)という言葉を、「ティンバー=木材」と「フレーム=骨組み」と直訳し、大径の木材を使用する在来軸組工法の一種と誤認している建築士は少なくありません。そのため、一般的な木造建築と同様に、柱と柱の間に筋交いを入れて耐力壁を構成する必要があると考えてしまうケースが多く見受けられます。しかし、真のティンバーフレームとは、単に木材を使った軸組みではなく、伝統的な仕口によって柱・梁・トラス・方杖を一体のフレームとして構築し、そのフレームを梁と方杖で連結して空間全体を構成する「方杖フレーム構法」によって成り立っています。これは構造美と機能を両立させた、まさに本物の木組み技術となります。

方杖フレーム構法(BentとBay)とは?

筋交いを必要としないティンバーフレームにおける骨組みは、建物の構造を合理的かつ美しく形づくるために、「ベント(Bent)」と「ベイ(Bay)」というフレーム単位によって構成されています。ベントとは、建物の横断面を形成する構造ユニットで、左右の柱とそれらを繋ぐ梁、さらに屋根を支えるトラスや補強材としての方杖などから成る、一体型のフレームです。一方、ベイは隣接するベント同士を繋ぎ、空間の奥行きを構成する要素であり、主に梁と方杖で構成されます。ベントの幅は建物の横方向の寸法に、ベイに用いられる梁の長さは、建物全体の奥行を決定づける重要な役割を担っています。このように、ベントとベイの繰り返しによって、堅牢でありながら開放感のある空間が生み出されるのが、ティンバーフレームの大きな魅力のひとつとなります。

「ほぞ穴とほぞ」による木工接合

ティンバーフレームでは、木材同士の接合に釘やボルトなどの金物を一切使用せず、伝統的な木工技術である「ほぞ穴とほぞ(mortise and tenon)」によってすべての構造材を組み上げていきます。これは、凹部である「ほぞ穴」に、対応する凸部の「ほぞ」を精密に差し込むことで、木材同士を強固に一体化させる接合法です。この「ほぞ組み」によって、外力に対する高い耐久性が得られるだけでなく、木材のねじれや変形を防ぎ、構造全体の安定性が大きく向上します。さらに、組み上げた接合部は「木栓」と呼ばれる硬質の木製ピンを打ち込むことで固定され、構造としての一体感と美しさが保たれます。この精緻な技法は、日本においてはすでに平安時代から用いられていたとされ、千年以上にわたり受け継がれてきた伝統建築の知恵と技術の結晶と言えるでしょう。

まとめ

ティンバーフレームの旧ショールーム(北海道旭川市)

このように、ティンバーフレームは単なる木造建築の一形態ではなく、厳選された無垢材を使い、伝統的な木組み技法によって構築される高度な木造建築構法です。筋交いを必要としない合理的な構造設計や、美しく繊細なほぞ組みによる接合、そして空間全体を形づくるベントとベイの体系的な構成によって、耐久性と意匠性を兼ね備えた空間が生み出されます。まさに、機能と美が調和する「本物の木組み建築」として、ティンバーフレームは現代においても高い価値を持ち続けています。

タグ:

By | 2025年05月29日

RSS
YouTube
YouTube
Set Youtube Channel ID
  • LINEで送る
  • Twitterで送る

その他の関連記事