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築100年を迎える「ハーフティンバー in文京区」の修繕工事を完了

2026年09月24日 - 事例紹介

意匠を残し、次の世代へ住み継ぐために。

東京都文京区に建つハーフティンバー様式の「T建物」にて、屋根・外壁を中心とした外部修繕工事が完了しました。

T建物は大正15年(1926年)に竣工し、2026年に築100年を迎えます。白い外壁と濃色の木部、切妻屋根、張り出した窓、曲線を描く屋根窓、そして正面のステンドグラス。複数の意匠が重なり合う外観は、一般的な住宅とは異なる洋館らしい存在感を今に伝えています。

今回の工事で目指したのは、建物を新しく見せることではありません。長年の風雨によって傷みが見られた部分を適切に整え、建物が持つ佇まいをできる限り残しながら、これからも安心して使い続けられる状態へ戻すことです。

修繕前に確認された屋根・外壁の傷み

築年数を重ねた木造建築では、屋根や外壁、窓まわり、木部など、日常的に雨・風・紫外線を受ける部分から少しずつ劣化が進みます。

T建物でも、屋根材や外壁に経年による傷みが見られました。外壁には細かなクラックが確認され、白壁と木部が接する部分、屋根の接合部、屋根窓のまわりなど、雨水が入り込みやすい箇所を一つずつ確認する必要がありました。

こうした部分は、見た目だけを塗り直しても十分ではありません。雨水の入口となる隙間や下地の状態を確認し、必要な補修を行うことが、木部や内部の下地を長く守ることにつながります。

複雑な屋根形状に合わせ、見えない防水下地まで整える

T建物は、複数の切妻屋根と曲線を持つ屋根窓、張り出した窓などが組み合わされた、変化に富んだ外観を持っています。そのため、工事では建物全体に足場を設置し、屋根面や高所の外壁、木部の状態を近くから確認しました。

屋根はカバー工法を採用しました。既存屋根材の上に下地合板を張りそのにアスファルトルーフィングを張り、仕上げ材を葺きました。アスファルトルーフィングは、屋根材の下で雨水の侵入を抑える防水シートです。

特に、屋根面どうしの接合部、立ち上がり部分、屋根窓の周囲、端部は、雨仕舞いの精度が求められる箇所です。完成後には見えなくなる工程ですが、こうした下地や取り合い部を丁寧に整えることが、建物を雨や湿気から守るうえで欠かせません。

外壁のクラックと、異なる材料が接する部分を補修

外壁の補修では、クラックの幅や深さ、周辺に浮きや劣化がないかを確認しながら、必要な箇所を補修しました。

ハーフティンバー様式では、白い外壁と濃色の木部という異なる材料が接しています。材料ごとに動き方や経年変化の現れ方が異なるため、その取り合い部分に生じる隙間や雨水の侵入には特に注意が必要です。

今回の修繕では、表面の仕上げを整えるだけでなく、屋根・外壁・木部の接合部まで確認し、建物を外部環境から守るための基本性能を見直しました。

玄関まわりとステンドグラスの意匠を守る

T建物の玄関まわりには、レンガ、石、木部を組み合わせた特徴的な意匠が残されています。こうした部分は、単に交換するのではなく、既存の柱、窓、装飾を傷つけないよう養生を行いながら、慎重に工事を進めました。

また、ステンドグラスは、この建物の歴史を伝える大切な要素です。新しい窓へ置き換えるのではなく、既存のガラスと周囲の木製枠を活かしながら、外側から保護するカバー工法を採用することで、意匠を残しつつ安全性と耐候性を高める方針としています。

古い建物の修繕では、傷んだ部分をすべて新しくすることが最善とは限りません。何を残し、どこを更新し、どのように次の世代へ渡していくかを見極めることが大切です。

修繕前後で見えてくる、外部修繕の役割

修繕後の建物は、白壁と濃色の木部のコントラスト、屋根の形、張り出した窓、ステンドグラスなど、本来の魅力を保ちながら、外部からの雨や風に備えられる状態へ整いました。

外部修繕は、外観を美しくするためだけの工事ではありません。屋根・外壁・開口部・木部を一体として見直すことで、雨水の侵入や木部の腐朽につながるリスクを抑え、建物の寿命を延ばすための工事でもあります。

築年数の長い木造建築では、次のような点を定期的に確認することが重要です。

  • 屋根材や屋根窓まわりに破損・浮き・雨漏りの兆候がないか
  • 外壁のクラックや、木部との取り合いに隙間が生じていないか
  • 窓まわり、雨樋、雨仕舞いの状態に不具合がないか
  • 木部に腐朽、塗装の劣化、虫害の兆候がないか

小さな変化の段階で状態を確認し、必要な修繕を行うことが、大がかりな改修を防ぐことにもつながります。

次の世代へ、建物の時間を引き継ぐ

築100年を迎える建物を残すことは、外観だけを保存することではありません。そこに使われている木、レンガ、石、ガラス、そして長い時間を経て形づくられた建物の雰囲気を、これからの暮らしの中で生かしていくことでもあります。

今回の外部修繕により、T建物は本来の意匠を保ちながら、次の世代へ住み継ぐための新たな一歩を踏み出しました。

歴史ある木造建築は、適切な点検と修繕を重ねることで、今後も住まいとして使い続けることができます。今回の工事が、古い建物を残しながら暮らしに生かすための一例となれば幸いです。

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By | 2026年09月24日

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