東京都内に建つ、ハーフティンバー様式の「T建物」にて、建物を今後も長く使い続けるためのリノベーション工事が始まります。

T建物が完成したのは、大正15年(1926年)。2026年で竣工からちょうど100年を迎える物件です。
今回の工事では、長年の風雨によって老朽化した屋根と外壁を中心に更新し、建物正面に残るステンドグラスの補強も行います。
大正時代に建てられたハーフティンバー
T建物の外観には、白い外壁と濃色の木部を組み合わせたハーフティンバー様式が取り入れられています。
切妻屋根、木部を見せた妻壁、張り出した窓、曲線を持つ屋根窓などが組み合わされ、一般的な和風住宅とは異なる洋館らしい外観を形成しています。
建物正面の大きな窓にはステンドグラスが使われており、竣工当時の意匠を現在まで伝える重要な部分となっています。
築100年を前に進める外部修繕
長い年月を経た木造住宅では、建物の構造だけでなく、屋根、外壁、窓、木部など、外部から雨や紫外線を受ける部分の維持管理が重要になります。
T建物でも、屋根材や外壁の老朽化が進んでいることから、今回の工事では主に次の修繕を行います。
- 老朽化した屋根の更新
- 外壁の更新および補修
- 外部木部の状態確認
- ステンドグラスの補強
- 窓まわりの雨仕舞いの改善
工事期間は、2026年3月16日から6月30日までを予定しています。
まず外部工事を完了させ、建物を雨や風から守れる状態に整えた後、内部の修繕工事へ進む計画です。


ステンドグラスはカバー工法で保護
T建物の特徴の一つが、正面窓に設けられたステンドグラスです。
ガラスそのものだけでなく、周囲の木製枠にも経年による傷みが見られるため、今回の工事では既存のステンドグラスを残しながら、外側から保護するカバー工法を採用します。
新しい窓へ交換するのではなく、現在の意匠を残したまま補強することで、建物の外観を大きく変えずに安全性と耐候性を高めます。
歴史ある住宅の修繕では、古いものをすべて新しくするのではなく、残す部分と更新する部分を見極めることが重要です。
建物の雰囲気を守りながら更新する
築100年の建物を修繕する場合、単に新しい材料へ交換するだけでは、竣工当時から受け継がれてきた外観のバランスが失われることがあります。
T建物では、ハーフティンバーらしい木部と白壁の構成、屋根の形、窓の配置、ステンドグラスなど、建物の特徴をできる限り残しながら修繕を進めます。
一方で、雨水の侵入や木部の腐朽につながる部分については、現在の状態を確認したうえで、必要な補修や更新を行います。
外観を保存することと、今後も安心して使える建物にすること。その両方を考えながら進める修繕工事です。
次の世代へ引き継ぐための修繕
現在、T建物にはご家族が暮らしており、外部工事の完了後には内部工事も予定されています。
すべての修繕が完了した後は、次の世代のご夫妻が移り住み、住宅として引き続き使われる計画です。
築100年を迎えた建物を解体するのではなく、必要な修繕を施し、これからの暮らしに合わせて使い続けることは、古い木造建築物を残すうえで大切な選択肢の一つです。
今後は、屋根と外壁の解体状況、木部の状態、ステンドグラスの補強方法など、工事の進捗に合わせて紹介していきます。

